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JR常磐線の神立駅から車でわずか10分。茨城県かすみがうら市に、価格ゼロ円で譲渡される土地が登場した。広さは約211坪。固定資産税評価額が20万円を超える物件が、無償で新しいオーナーを待っている。
この物件が掲載されているのは「みんなの0円物件」というサイトだ。全国の無償譲渡物件を集めたマッチングプラットフォームで、相続などで取得したものの活用できていない不動産と、それを活かしたい人をつなぐ役割を担っている。今回紹介する土地も、まさにそんな背景から生まれた案件である。
相続で引き継いだはいいが、遠方に住んでいるため管理できない。隣接地の所有者や自治体に打診しても断られた。そんな経緯を経て、この土地は新たな活用者を求めることになった。ただし、この物件にはいくつか知っておくべきポイントがある。
物件の所在地は茨城県かすみがうら市下稲吉字西山。地目は原野で、面積は698平方メートル、坪数に換算すると約211坪だ。固定資産税評価額は209,400円となっているが、実際の固定資産税の請求は来ていないという。




特徴的なのは、その形状である。所有者の推測によれば、幅約5メートル、長さ約140メートルという細長い土地だ。四角形またはそれに近い形状だが、かなりの長方形といえる。加えて、土地自体やその付近に傾斜があることも明記されている。
所有者は相続の際に初めてこの土地の存在を知り、現地に足を運んだことがない。そのため土地の正確な状況については「わからない」「不透明」といった表現が多く使われている。草木がうっそうと生い茂り、樹木も存在するが、それ以外に何があるのかは不明だ。
JR常磐線の神立駅から車で約10分という立地は、決して悪くない。タイトルには「100円ショップや本屋からほど近い」とあるが、これは神立駅周辺の商業施設を指していると思われる。かすみがうら市は茨城県南部に位置し、霞ヶ浦に面した自然豊かなエリアだ。
ただし、物件へのアクセスには課題がある。付近に公道や通路があるかは明確ではなく、樹木が茂っているため車で近くまでたどり着けるかも不透明だという。人の土地(私道)を通らなければならない可能性もあり、車や重機がどこまで接近できるのかは現地確認が必須だ。
周辺には民家や住宅があると記載されているため、完全な山林の中というわけではなさそうだ。しかし、土地への進入路の確保が大きな課題となる。
この物件のもう一つの重要なポイントは、境界が不明確だということだ。所有者は境界標がどこにあるのかわからず、そのため土地の正確な範囲も把握できていない。不動産取引において境界の確定は極めて重要な要素であり、通常は測量を行って明確にする必要がある。
譲渡条件は「現況有姿」「契約不適合責任免責」となっている。つまり、土地の状態をそのまま引き渡し、後から瑕疵が見つかっても売主(譲渡者)は責任を負わないという条件だ。これは無償譲渡では一般的な条件だが、受け取る側にとってはリスクを伴う。
そのため、物件情報には「購入前の法令調査など、必要な調査を十分に行っていただける方にお譲りしたい」と明記されている。建築基準法上の接道義務を満たしているか、都市計画法上の制限はどうなっているか、埋蔵文化財包蔵地に該当しないかなど、自己責任で調べる必要がある。
では、この物件はどんな人に向いているのだろうか。
まず考えられるのは、自然を活かした活用を考えている人だ。約211坪という広さは、家庭菜園やキャンプ場、アウトドア体験施設などに転用できる可能性がある。草木の伐採や整地には労力とコストがかかるが、それを楽しみと捉えられる人には魅力的かもしれない。
また、不動産の法的知識や測量の経験がある人にも向いている。境界確定や進入路の確保といった課題をクリアできれば、実質ゼロ円で土地を取得できるメリットは大きい。DIY好きで長期的な視点で土地を育てていける人なら、チャレンジする価値はあるだろう。
一方、すぐに活用したい人や、手間をかけずに取得したい人には不向きだ。現状では建物を建てられるかも不明で、インフラの整備状況も確認が必要である。電気や水道の引き込みにどれだけのコストがかかるのかも、事前に調査しなければならない。
「0円物件」という言葉は魅力的だが、実際には取得に費用がかかる。不動産の所有権移転には登記費用が必要で、司法書士への報酬や登録免許税が発生する。また、取得後には不動産取得税が課される可能性もある。
さらに、この物件の場合は測量費用や造成費用も視野に入れておく必要がある。境界を確定するための測量は数十万円、進入路を整備したり傾斜地を平らにしたりする造成工事はさらに高額になる可能性がある。
現地見学は事前承認制で、本人確認書類の提出が求められる。興味がある場合は、サイト内の問い合わせフォームから申し込む流れだ。なお、運営事務局は仲介に入らないため、物件の詳細な質問には答えられないとのことである。
茨城県かすみがうら市は、霞ヶ浦と筑波山に挟まれた自然豊かな地域だ。人口は約4万人で、果樹栽培が盛んなことで知られる。特に梨の産地として有名で、「かすみがうら市千代田地区」は日本有数の梨の産地となっている。
神立駅はJR常磐線の駅で、東京・上野駅まで特急で約1時間の距離だ。通勤圏内とは言えないが、週末利用やセカンドハウスとしてなら十分に検討できる範囲である。市内には国道6号線や常磐自動車道が通り、つくば市や土浦市へのアクセスも良好だ。
近年、相続した不動産の処分に困る人が増えている。特に地方の土地や建物は、売却しようにも買い手が見つからず、管理コストだけがかさむケースが多い。国庫帰属制度も始まったが、条件が厳しく利用できないケースも少なくない。
そんな中で注目されているのが、無償譲渡というスキームだ。所有者にとっては管理の負担から解放されるメリットがあり、受け取る側は初期コストを抑えて土地を入手できる。双方にとってwin-winの関係を築ける可能性がある。
ただし、今回の物件のように課題が多いケースもある。「タダほど高いものはない」という言葉もあるとおり、後々のコストや手間を十分に見積もったうえで判断することが重要だ。
「みんなの0円物件」のサイトを見ると、この物件は2025年11月17日に掲載され、11月27日に更新されている。閲覧数は34,005回を記録しており、注目度の高さがうかがえる。全国には同様の無償譲渡物件が1,700件以上掲載されており、地方の不動産流通に新たな風を吹き込んでいる。
茨城県かすみがうら市の無償譲渡土地は、約211坪という広さと神立駅から車で10分というアクセスに魅力がある。一方で、境界不明、進入路不透明、傾斜地、現地未確認という課題も多い。
この物件に向いているのは、不動産の知識があり、長期的な視点で土地を育てていけるチャレンジ精神旺盛な人だ。測量、造成、インフラ整備といった初期投資を厭わず、自然を活かした活用法を考えられる人なら、十分に価値を見出せるだろう。
逆に、すぐに使える土地を求めている人や、手間をかけずに取得したい人には勧められない。「0円」という言葉に飛びつかず、総合的なコストとリスクを冷静に判断することが求められる。
興味がある人は、まず現地を自分の目で確認し、法令調査や測量の見積もりを取ることから始めてほしい。無償譲渡物件は、新しい不動産活用のかたちとして可能性を秘めている。あなたのアイデアと行動力が、眠っていた土地に新たな命を吹き込むかもしれない。
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