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年末年始、多くの人が仕事を終えてこたつでミカンを食べながらテレビの前でくつろいでいる頃、自衛隊は何をしているのだろう。そんな素朴な疑問に答えてくれるのが扶桑社から12月19日に発売された『MAMOR』2026年2月号である。防衛省が編集協力する自衛隊オフィシャルマガジンというだけあって、普段はなかなか見られない自衛隊の夜の顔に密着している。

巻頭特集のタイトルは「国防は眠らない 自衛隊ドキュメント 12月31日 23:30」。12月31日の夜23時30分という年が変わろうとするその瞬間に自衛隊員たちはどんな任務に就いているのか。編集部は東京・練馬駐屯地に17時15分から翌朝8時30分まで滞在しその様子を追いかけた。16時間にわたる長時間取材である。24時間365日、間断なく日本を守り続ける自衛隊の姿がここに記録されている。
本号のもう一つの目玉は「MILITARY REPORT」だ。陸上自衛隊の第10師団第3次訓練検閲を取材したもので、副題が「富士山麓の荒野で模擬戦を繰り広げる勇者たち 自衛隊、われらの7日間戦闘」となっている。これがなかなか興味深い。

陸上自衛隊には「訓練検閲」という制度がある。訓練の熟練度を測るための、いわば実地試験のようなものだ。敵と味方に分かれて模擬戦を行い、審判が戦地における行動、判断、作戦能力などを判定する。2025年9月、第14普通科連隊と第35普通科連隊が攻撃側と防御側に分かれて7日間にわたって戦った様子が誌面で紹介されている。
この訓練検閲、使用する装備が面白い。隊員のヘルメットと胸部に受光装置を装着し、小銃や機関銃から発射されたレーザー光線が当たると銃弾の命中を判定する仕組みになっている。火器の種類や撃たれた体の部位、ケガの重症度、さらには死亡の判定まで自動でなされるという。サバイバルゲームのハイテク版といった感じだろうか。いや、こちらが本家本元である。富士山麓の荒野を舞台に、隊員たちが真剣に戦う様子が誌面から伝わってくる。
『MAMOR』のキャッチフレーズは「日本の防衛のこと、もっと知りたい!」だ。このコンセプトを体現する連載が「志田音々の “ねぇねぇ防衛のこと、もっと教えて!”」である。読者から募った防衛に関する疑問や質問を、広報アドバイザーの志田音々さんがインタビュアーとなって、各界の識者に聞いていく企画だ。
今回のテーマは「特殊部隊ってなに?」。答えてくれるのは、防衛省防衛研究所の戦史研究センター安全保障政策史研究室で室長を務める塚本勝也さんである。映画やドラマではよく見かける特殊部隊だが、実際にはどういう存在なのか。自衛隊にも特殊部隊はあるのか。そんな素朴な疑問に専門家が答えてくれる。
今号から始まった新連載も見逃せない。「自衛隊のほかほか潤滑油 センニンのセンニンに会いたい!」というタイトルで、漫画家のふじいまさこさんが自衛隊の「先任」を訪ねて回る企画である。
先任とは、現場で任務に就く隊員と、それを指揮する幹部の間に立つ存在だ。現場の面倒を見ながら幹部の補佐役を務める、いわば組織の潤滑油のような役割を担っている。ふじいさんは「ホットな人間関係に飢えた」と自己紹介しつつ、熱い先任を訪ねる旅に出る。人と人がギスギスせず円滑に働くための、仙人のような存在。だから「センニンのセンニン」というわけだ。
第1回は陸上自衛隊の中央情報隊を訪問している。ふじいさんの目標は1000人の先任に会うことだという。果たして達成できるだろうか。温かみのある人間模様が描かれそうで、今後の展開が楽しみである。
読み物だけでなく、実用的なコンテンツも充実している。「全国自衛隊の隊員食堂」のコーナーでは、全国各地の基地や駐屯地で自衛官たちが食べている料理のレシピを紹介している。今回は鳥取県の米子駐屯地から「大山鶏のバターチキンカレー」が登場だ。
山陰の名峰・大山の麓で育った大山鶏の柔らかいモモ肉と、地元産の乳製品を使ったマイルドで奥深い味のカレーだという。自衛隊の食事というと質実剛健なイメージがあるが、こうした地域色豊かなメニューもあるのだと知ると親近感が湧く。レシピも掲載されているので、家庭で再現することもできそうだ。
「あなたも筋肉チャレンジ『自衛官の「キツイッ!」マッスルボディーメーク術』」は、自衛官が実践する筋トレを紹介するコーナーである。タイトルに「そんなに甘くはありませんっ!」「はっきり言ってキツイです。苦しいです」と正直に書いてあるあたりが好感が持てる。でも、その分マッスル度が上がると信じて、さあチャレンジ、というわけだ。
表紙とグラビアの撮影に協力したのは、陸上自衛隊の第1普通科連隊である。「防人たちの女神」コーナーには菊池柚花さんが登場し、「菊池柚花 in Nerima」として東京・練馬で撮影が行われた。自衛隊の装備や基地を背景に、モデルやタレントが登場するのも『MAMOR』ならではの趣向だろう。
『MAMOR』は自衛隊ファンだけでなく、老若男女あらゆる世代が気軽に国防を学び、楽しめる媒体を目指している。硬派なミリタリー雑誌というよりは、防衛という身近だけど縁遠いテーマを、親しみやすく伝えようとする姿勢が感じられる。
大晦日の夜、年越しそばを食べて紅白歌合戦を見ている間も、日本の防衛は続いている。練馬駐屯地で過ごした16時間の記録は、その事実を改めて教えてくれる。富士山麓で繰り広げられた7日間の模擬戦は、平和な日常の裏側で隊員たちがどれだけ真剣に訓練を重ねているかを物語る。志田音々さんの連載や新連載の先任巡りは、自衛隊という組織の人間臭い側面を浮き彫りにする。隊員食堂のカレーレシピは、自衛隊員も我々と同じように食事を楽しんでいることを思い出させてくれる。
【今月の表紙‧グラビア撮影の協力・支援部隊】陸上自衛隊 第1普通科連隊
『MAMOR 2026年2月号 vol.228』
定価:780円(本体709円)
発売日:2025年12月19日(金)
※地域によって販売日はことなります。
Amazon
https://www.amazon.co.jp/dp/B0G37FCDMR/
楽天ブックス
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男の感性に火をつける、ライフスタイルWEBマガジン「GENTS-ジェンツ-」運営。
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