AirTag超え？MiTag Duoが選ばれる理由を解説

2025.10.25

Bluetoothトラッカーといえば、Apple AirTagの登場以来、急速に市場が拡大してきた分野である。鍵や財布、バッグなどに取り付けて、スマートフォンから位置を確認できるこのデバイスは、いまや多くの人にとって日常の必需品になりつつある。

しかし、ここに一つの問題があった。iPhoneユーザーはApple AirTagを、AndroidユーザーはTileやChipoloといった製品を選ぶのが一般的で、つまりはスマートフォンのプラットフォームによって、使えるトラッカーが決まってしまうのだ。機種変更でiPhoneからAndroidへ、あるいはその逆へ乗り換えるたびに、トラッカーまで買い替えなければならない。これは地味に面倒なことである。

そんな「どちらか選べ」という二者択一の状況に、風穴を開けたのがMiLiの新製品「MiTag Duo」だ。これは、AppleとGoogleの両方から公式認証を受けた、初のBluetoothトラッカーなのである。

AppleとGoogle、両方の認証を取得

MiTag Duoの最大の特徴は、Apple の MFi 認証とGoogle の Find Hub 認証の両方を取得している点にある。つまり、iOSでもAndroidでも、それぞれのプラットフォームが提供する暗号化されたクラウドソース型の位置情報ネットワークを、同等のセキュリティと信頼性で利用できるということだ。

使い方もシンプルである。iOSデバイスでは、ワンタップでGoogle の Find Hub に追加できる。Androidでは、初期化後に再ペアリングすることでGoogle の Find Hub に登録可能だ。ペアリング手順は、AppleのAirTagやGoogleの新しいトラッカーと同様の流れで、専用アプリのインストールや新しいアカウントの作成は不要である。

スマートフォンを買い替えても、同じタグをそのまま使用できる。高額な再購入や、未接続のトラッカーを抱える心配がないのは、地味だが大きなメリットだろう。

サブスクリプション不要で、基本機能をフル活用

もう一つ注目すべきは、サブスクリプションが不要という点だ。位置履歴、置き忘れ通知、紛失モードといった主要機能は、AppleおよびGoogleの純正アプリ内で無料で利用できる。

競合製品の一つであるTileでは、これらの基本機能の多くが年間29.99ドルの有料プランに制限されており、しかもAppleやGoogleのネットワークは利用できない。この差は小さくない。継続的なコストがかからないというのは、長く使うデバイスとして重要なポイントである。

価格は19.99米ドル、競合と比べて優位性

価格はわずか19.99米ドル。AppleのAirTagの代替として、またはAndroid向け最有力トラッカーの一つとして、デュアルエコシステム対応を実現している。

ChipoloやPebblebeeも最近、デュアルシステム対応のトラッカーを発表したが、MiLi MiTag Duoに比べて価格は割高だ。いわゆる「ユニバーサル」対応を謳う他社製品よりも低価格で、かつ機能面でも大きくリードしている。さらに、世界最大級のクラウドソース型探索ネットワークであるAppleとGoogleの両方を活用できる点も大きな強みだろう。

iPhoneからAndroidへ、またはその逆でも、トラッカーを買い替える必要はない。他社製品では、この柔軟性を2,000円未満で実現することはできないのである。

注意すべき点も、いくつか

もちろん、注意すべき点もある。

まず、AppleとGoogleの同時利用はできない。両プラットフォームは異なる暗号鍵を使用しているため、MiTag Duo（Pebblebee UniversalやChipolo Popも同様）は、プラットフォームを切り替える際にリセットが必要だ。つまり、一つのタグを同時に二つのプラットフォームで使うことはできない、ということである。

次に、Ultra-Wideband（UWB）には対応していない。AirTagおよびTile Proは、対応デバイスにおいて数センチ単位で位置を特定できる「Precision Finding（正確な探索）」にUWB技術を採用しているが、MiTag Duoは、他の多くのトラッカーと同様に標準のBluetooth通信を使用している。

そして、電池の方式について。Pebblebeeは環境に配慮した充電式デザインを採用しているが、出張や旅行が多いユーザーにとっては、空港の売店などで入手しやすいCR2032型ボタン電池による交換式の方が便利な場合もある。MiTag Duoは、この汎用的なコイン電池方式を採用している。充電の手間がない反面、電池交換が必要になるということだ。