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群馬・桐生に約340台の旧車が集結!日野の幻の名車も特別展示

群馬大学のキャンパスがタイムマシンになる。

2025年11月2日(日)、群馬県桐生市の群馬大学理工学部桐生キャンパスで「第18回クラシックカーフェスティバル in 桐生」が開催されるのである。1980年(昭和55年)以前に生産された国内外の名車たちが一堂に会するこのイベント、今年は過去最大規模となる約340台が参加する予定だ。展示部門に約200台、桐生近郊を走るラリー部門に約100台、それに実行委員の車両を加えると、キャンパスは往年の名車で埋め尽くされることになる。

しかも今年は特別だ。日野自動車が初めて全面協力し、普段は東京の日野オートプラザでしか見られない希少車2台を桐生に持ってくるというのだから、これは見逃せない。

日野自動車が持ってくるのは、いわば「幻」と「伝説」である。

まず一台目が「日野コンテッサ900スプリント」。歴代日本車の中でも最も美しいクルマの一台と言われながら、結局販売には至らなかった幻の車両なのだ。流麗なボディラインを持つこのスポーツカーは、見る者を1960年代の夢の世界へ連れて行ってくれる。なぜ市販されなかったのか。その理由を想像するだけでも、クルマ好きには堪らない話である。

コンテッサ900スプリント
ルノー4CV

もう一台が「日野ルノー4CV」。こちらは幻ではなく、むしろ日本の自動車産業史における重要な一ページを刻んだ車両だ。フランスのルノーと業務提携を結んでノックダウン生産を開始し、1958年には完全国産化を果たした。戦後復興期の日本が、いかにして自動車大国への道を歩み始めたか。その足跡を物語る一台なのである。

大学のキャンパスで旧車イベントというのが、まずユニークだ。

「クラシックカーフェスティバル in 桐生」は2006年にスタートした旧車イベントで、桐生地域の旧車愛好家たちが実行委員会を組織して運営している。初回以来、会場となっているのが国立群馬大学理工学部のキャンパス。大学という公共空間を利用している点が、このイベントの大きな特徴なのだ。

コロナ禍による中止を挟みながら、これまでに17回を数え、毎回2万人近い来場者を動員してきた。参加者や来場者、地域の企業や住民に支えられて、いまや桐生の秋を代表するイベントとして定着している。

クルマだけじゃない。家族みんなが楽しめる工夫が随所にある。

会場内にはキッチンカーやガレージセールなどの出店が並び、小学生以下の子どもを対象にした「子どもお絵描き大会」も開催される。クルマの絵を描いたり、好きな絵を描いたり。子どもたちにとっては、大きなお絵描き会場なのだ。

懐かしのボンネットバスによる市内遊覧運行も見逃せない。ボンネットバスというのは、運転席の前にエンジンボンネットがあるタイプのバスで、昭和30年代から40年代にかけて全国を走っていた。いまでは希少な存在だ。このボンネットバスに乗って桐生の街を巡れば、まるで昭和の時代にタイムスリップしたような気分になれる。

群馬大学が主催する「自動車にまつわる講演会」も開催される。クルマの技術史や文化について、専門家の話を聞けるのだから、クルマ好きにはたまらない企画である。

そして、フィナーレが素晴らしい。

午後3時の閉会後、参加車両が群馬大学の正門から、桐生市の目抜き通りである本町通りを通って帰路につくのだが、これがまた感動的な光景なのだ。桐生市民が小旗を振って参加車両を見送る。温かい拍手と手振り。この光景は、すっかりフェスティバルのフィナーレとして定着した。

往年の名車がゆっくりと本町通りを進んでいく様子を、沿道から眺める。ポルシェやジャガー、トライアンフといった欧州車もあれば、ダットサンやトヨタ2000GTといった日本車もある。それぞれのクルマに、それぞれのオーナーの物語がある。何十年も大切に乗り続けてきた人もいれば、レストアに何年もかけた人もいる。

旧車というのは、ただ古いクルマではない。

それは時代を映す鏡であり、技術の進化を示す証であり、そして何よりも、人々の情熱と愛情の結晶なのだ。クラシックカーを見ていると、そのクルマが走った時代の空気まで感じられる気がする。白黒テレビ、ラジオから流れる歌謡曲、舗装されていない道路。そんな時代を、クルマは静かに語りかけてくるのである。

桐生という街も、このイベントにふさわしい場所だ。かつて絹織物の産地として栄えた桐生は、大正から昭和初期にかけて建てられたノコギリ屋根の工場や蔵が今も残る。歴史を大切にする街の姿勢が、旧車イベントを温かく迎え入れているのだろう。

今年で18回目。地道に続けてきた実行委員会の努力が実を結んでいる。

第1回から参加している愛好家もいれば、最近参加し始めた若い世代もいる。世代を超えて、クルマへの愛情が受け継がれているのだ。そして今回、日野自動車の全面協力を得て、特別展示が実現した。これは実行委員会の信頼と実績があってこそである。

約340台という過去最大規模での開催。日野の希少車2台の特別展示。多彩な催し。そして温かいフィナーレ。2025年11月2日の桐生は、クルマ好きにとって特別な一日になるはずだ。

秋の群馬、桐生へ足を運んでみてはどうだろう。

群馬大学理工学部桐生キャンパスは、桐生市天神町1-5-1。開催時間は午前10時から午後3時まで。入場は無料である。東京から車で約2時間半、電車なら浅草から東武特急で約2時間。日帰りで十分楽しめる距離だ。

家族連れでもカップルでも、一人でも楽しめる。キッチンカーで食事をし、懐かしのボンネットバスに乗り、美しいクルマたちを眺める。そして午後3時、本町通りで小旗を振って参加車両を見送る。こんな休日の過ごし方も、悪くないのである。

【開催概要】
イベント名:第18回クラシックカーフェスティバル in 桐生
日 時:2025年11月2日(日)10:00~15:00
会 場:群馬大学理工学部桐生キャンパス(群馬県桐生市天神町1-5-1))
主 催:クラシックカーフェスティバルin桐生実行委員会

【本件に関するお問い合わせ先】
クラシックカーフェスティバルin桐生実行委員会
実行委員会事務局:桐生商工会議所
電話 0277-45-1201(対応:平日9:00~17:00)
HP https://www.ccf-kiryu.com

この記事の著者

男の感性に火をつける、ライフスタイルWEBマガジン「GENTS-ジェンツ-」運営。
40代を中心とした大人世代に向けて、茨城県南エリアの情報を本当に良いと感じたものだけを厳選して紹介しています。