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「流し」という言葉を聞いて、ピンとくる人はどれくらいいるだろう。昭和の夜の街を彩った、ギター一本を抱えて酒場を巡る流しの歌手たち。その文化は時代とともに失われつつあるが、令和の今、「平成のおんなギター流し」として注目を集めている歌手がいる。その名も「おかゆ」である。
このおかゆさんが講師を務める歌謡曲講座が、NHK文化センターの青山教室、千葉教室、柏教室の3会場で開催されることになった。昭和歌謡の魅力を語り、歌い、生きた言葉で届けるという、なかなか興味深い試みなのだ。
おかゆさんは北海道・札幌市の出身。幼い頃、歌手になることを夢見ていた母とともにスナックで歌謡曲に親しみ、音楽に目覚めたという。上京後、母の急逝をきっかけに歌手の道を本格的に志し、2014年より流しとして活動を開始した。ギター片手に全国を巡り、唯一無二の存在感で多くのファンに支持されているというから、これは本物の流しなのである。
今回開催される講座は、3つの会場でそれぞれ異なる切り口から昭和歌謡の世界に迫る内容になっている。
まず青山教室では、『おんな流し”おかゆ”と味わう歌謡曲』と題した3回シリーズが開催される。歌と語りでじっくり味わう昭和歌謡の世界を、おかゆさんならではの選曲と生歌唱を交えた贅沢な構成で楽しめるのだという。開催日は2025年10月16日、11月20日、12月11日の各木曜日、いずれも午後7時から8時半まで。受講料は会員が15,114円、一般が17,160円(いずれも税込)である。
千葉教室では、『昭和100年、おんな流しおかゆが語る流しと歌謡曲の世界』という講座が用意されている。こちらは流し文化のルーツから、現代のおんな流しとしてのリアルな語りまで、歌謡曲に生きた昭和の空気をおかゆさんとともに体感できる内容だ。開催は2025年11月8日土曜日、午後2時半から4時まで。受講料は会員が4,576円、一般が5,148円(いずれも税込)となっている。
柏教室では、『おんな流しおかゆが語る 昭和100年、レコードと歌謡曲の世界』が開かれる。昭和歌謡に欠かせない「レコード文化」にフォーカスし、おかゆさん秘蔵のレコードを聴きながら、昭和の名曲と時代背景に迫るという趣向である。開催は2025年11月29日土曜日、午前10時半から正午まで。受講料は千葉教室と同じく、会員が4,576円、一般が5,148円(いずれも税込)だ。
3つの講座に共通しているのは、生歌唱による臨場感あふれるレクチャーという点である。昭和歌謡の背景や歌い方のコツも解説されるというから、ただ聴くだけではない学びの要素も充実している。アットホームな雰囲気で初心者も安心して参加できるそうで、音楽好きな友達との参加にもぴったりだし、もちろん一人での参加も大歓迎とのことだ。
こうした講座は、おかゆさんのファンはもちろん、昭和歌謡に興味がある人、歌唱や表現に関心がある人、昭和の懐かしい雰囲気が好きな人、そしてスナック文化や流しに魅力を感じる人には特におすすめだという。
考えてみれば、昭和という時代は歌謡曲全盛の時代であった。テレビからは毎週のように歌番組が流れ、レコードが飛ぶように売れ、街角のスナックでは流しの歌手が客のリクエストに応えて歌っていた。そんな時代の空気を、おかゆさんの語りと歌を通じて体感できる機会というのは、なかなか貴重なものかもしれない。
流しという文化が衰退した今、あえてその道を選び、ギター一本で全国を巡り続けるおかゆさんの姿には、昭和歌謡への深い愛情と敬意が感じられる。母とスナックで親しんだ歌謡曲が、やがて彼女の人生そのものになったというストーリーも、どこか昭和の歌謡曲らしい人間ドラマを感じさせるのである。
青山、千葉、柏という3つの会場で、それぞれ異なる角度から昭和歌謡の世界を掘り下げるこの講座。歌と語りで綴られる昭和の記憶に、耳を傾けてみるのも悪くないだろう。
懐かしくて、新しい。そんなキャッチフレーズがぴったりくる、おかゆさんの歌謡曲講座。昭和の名曲とともに、心温まるひと時を過ごせるかもしれない。
男の感性に火をつける、ライフスタイルWEBマガジン「GENTS-ジェンツ-」運営。
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