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学生時代、私はバイト代を貯めてフェンダーのギターを買ったことがある。当時の私にとって、フェンダーは憧れの的であり、あのヘッドストックのロゴを見るだけで胸が高鳴ったものだ。そんなフェンダーが、今度はゴジラとコラボレーションするという。しかも70周年記念という節目に。2025年10月11日から予約受付が始まるというこのコレクション、正直なところ「どこまで本気なんだろう」と半信半疑で情報を眺めていたのだが、その内容を知って驚いた。これは相当に気合いの入った企画なのである。
フェンダー ミュージカル インストゥルメンツ コーポレーション(FMIC)が発表した「Fender | Godzilla 70th Anniversary Collaboration Collection」は、ただのコラボグッズではない。フェンダーの最高峰ラインであるFender Custom Shopによるマスタービルトモデルから、日本製の特別仕様ギター、さらにはアパレルやカフェメニューまで、まさに怪獣級の展開を見せているのだ。
まず目を引くのが「Limited Edition Masterbuilt Godzilla Stratocaster」である。価格は550万円。決して手の届く金額ではないが、この一本の仕様を知ると、その価格にも納得がいくのだ。
このギターを手がけたのは、Fender Custom Shopのマスタービルダー、アンディ・ヒックスと、ロサンゼルスを拠点に活動するアーティストのトム・ニーリー。二人とも子供の頃からのゴジラファンだというから、このプロジェクトへの思い入れは相当なものだろう。
最大の特徴は、ボディに内蔵された特別設計の電子回路により、演奏中にゴジラの咆哮を再現できる機能である。ボタンを押すとアンプを通してあの伝説的な咆哮が響き渡るという。ライブで使えば、観客は度肝を抜かれることだろう。
さらに驚くべきは、トム・ニーリーによるアートワークだ。ブラックライトを当てると、まるでゴジラが放射熱線を放っているかのように発光する特殊仕様になっているという。フロントには平成ゴジラをモノクロで描き、バックには昭和、平成、ミレニアム、『シン・ゴジラ』、そして『ゴジラ-1.0』まで、各時代のゴジラの姿が表現されている。
販売はFender Flagship Tokyo(東京・原宿/表参道)で、2025年10月11日11時から受注開始。納品は2027年2月頃からとのことだが、限定本数での受注販売なので、気になる人は早めの行動が必要だろう。
一方、もう少し現実的な価格帯で登場するのが「Made in Japan Godzilla Stratocaster」の2機種である。ブルーとブラックの2色展開で、価格はともに49.5万円。こちらも決して安くはないが、その仕様を見ると納得の内容なのだ。
ブルーモデルは全国のフェンダー正規取扱店で販売される。アルダーボディにマートルウッドを貼り合わせ、深みのあるブルーに染め上げたグロスフィニッシュを採用。指板12フレット付近にはゴジラのロゴが大胆に配置されている。
注目すべきは「GLO – Gain-Linked Optics」機構(特許出願中)だ。Tone 2ノブを押すと内蔵ディストーション回路が作動し、歪みの度合いに応じて光の強さが変化する。演奏に合わせてピックガードに描かれたゴジラの背びれが発光し、怒れるゴジラが放射熱線を放つ姿を音と光で表現するという。ライブステージでの演出効果は絶大だろう。
さらに、このモデル専用に開発された「Custom Godzilla Humbucking」ピックアップにより、唯一無二のヘヴィサウンドを実現。特別仕様のネックプレート、正規製品認定書、専用ハードケースが付属する。
一方、ブラックモデルはFender Flagship Tokyoとフェンダー日本公式オンラインショップ限定で発売される。1作目の白黒映画『ゴジラ』の世界観にインスパイアされたモノトーンデザインで、より限定性の高いモデルとなっている。こちらはシリアルナンバー入りの特別仕様ネックプレートが付属し、コレクション性も高い。
ブルーモデルの予約は2025年10月11日から、ブラックモデルは同日予約開始で10月24日発売となる。
コラボレーションはギターだけにとどまらない。特別デザインのピックセット「Fender® | Godzilla Collaboration Picks」も登場する。価格は3,300円で、全12種類のピックはすべて異なるデザイン。カタカナのゴジラフォントで描かれた「フェンダー」の文字や、金屏風を想起させる背景にゴジラの岩肌をあしらったものなど、コレクション性の高いラインナップだ。ピックを収納するスライド缶には、地面を踏み抜いたように金属の地肌が露わになったゴジラの足跡がデザインされている。
2026年春には「Godzilla Distortion」というディストーションペダルも数量限定で発売予定だ。価格は16,500円。アクティブTreble & Bassコントロールによって荒々しさと鋭さのバランスを自在に調整でき、Distortionノブを回すことで破壊力あふれる極太サウンドを引き出すという。なお、Fender Flagship Tokyoでは、店内にてエレキギターを購入した客限定で、10月11日より先行予約を受け付けるとのことだ。
アパレルにも注目だ。フェンダーオリジナルのアパレルブランド「F IS FOR FENDER」からコラボTシャツ2種とキャップが登場する。Tシャツのイラストレーションは、Fender Custom Shopのリミテッドモデルのフロントとバックに描かれた「Godzilla」がプリントされており、70周年記念ゴジラロゴも施されている。Tシャツは22,000円、キャップは16,500円。いずれも日本製の数量限定生産で、Fender Flagship Tokyoでの店頭販売のみとなる。
さらに、Fender Flagship Tokyo内のFender Cafeでは、期間限定で「Godzilla Charcoal Latte」を提供する。チャコールが生み出す漆黒のボディに、黒ごまの香ばしさと黒糖の深い甘みを重ね、エスプレッソが「目覚めの衝撃」を与えるという。カップのリムにはナッツのプラリネと黒ごまをあしらい、ラテアートは定番のスワンをモチーフに、ゴジラの背びれを再現した大胆なスタイルだ。価格は980円で、2025年10月11日から10月31日までの期間限定となる。
1954年に公開された映画『ゴジラ』は、日本発の特撮怪獣映画として国内外に大きな衝撃を与えた。2016年の『シン・ゴジラ』は社会現象となり、2023年公開の70周年記念作品『ゴジラ-1.0』は世界中のスクリーンを賑わせた。長い年月を経てもなお、ゴジラは映画・アニメ・コミック・関連グッズなど多様な形で進化を続けている。
一方、フェンダーは1946年の創業以来、世界をリードする楽器メーカーとして音楽と文化に革命をもたらしてきた。今回のコラボレーションは、音楽と映画という異なるカルチャーが融合した歴史的瞬間といえるだろう。
かつて私がバイト代を貯めて買ったフェンダーのギターは、もちろんこんな特殊な仕様ではなかった。ただのストラトキャスターだったが、それでも手にした時の興奮は今でも忘れられない。今回のゴジラモデルを手にする人たちも、きっと同じような、いやそれ以上の興奮を味わうことだろう。550万円のマスタービルトモデルは簡単には手が出せないが、3,300円のピックセットなら気軽に手に入る。ゴジラとフェンダー、二大アイコンの融合を、自分なりの形で楽しむのもいいかもしれない。
ゴジラ著作権表記
TM & © TOHO CO., LTD.
フェンダー著作権表記
© 2025 Fender Musical Instruments Corporation.
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