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土浦のれんこん(つちうらのれんこん)は、茨城県土浦市および霞ヶ浦周辺地域で生産される蓮根(レンコン)で、日本一の生産量を誇る産地として知られている。
霞ヶ浦周辺は、豊富な水と低湿地帯に恵まれ、農林水産省の作物統計(令和5年産)において日本一のれんこん産地となっている。JA水郷つくばの作付面積は約850ヘクタール(2019年実績)にのぼり、霞ヶ浦沿岸一帯にれんこん田が広がっている。東京市場では、れんこんの9割が土浦市産で占めている。
霞ヶ浦沿岸は低湿地帯が多く、あしなどの野草が堆積して土壌が肥え(泥炭性埴土)、冬でも降雪の少ない温暖な気候が、れんこん栽培に適している。主な産地は霞ヶ浦流域の土浦市、かすみがうら市、行方市、小美玉市、稲敷市、河内町、阿見町、石岡市、美浦村である。
生産者は自家製のモミガラたい肥を作り、毎年れんこん田に投入し、有機肥料も積極的に取り入れている。土づくりから始まる丁寧な栽培が行われている。
収穫には、れんこんを傷つけないよう水圧でまわりの土を落とし、れんこんを浮かび上がらせる「水掘り」を採用している。ほとんどが人力で「水掘り」と呼ばれる機械で水をくみ上げ、ポンプの水圧でれんこんの泥を飛ばして収穫する方法が用いられている。
近年は大型ハウスの普及や品種の改良が進み、1年を通して品質の高いれんこんを栽培できる体制が整った。JA水郷つくばでは、れんこんの周年出荷を行っており、ほとんどが露地栽培だが、一部でハウス栽培も行われている。最盛期の12月は日量約12万ケース出荷される。
茨城のれんこんの魅力は、ぷっくりとした団子状でやわらかな肉質、ほんのりとした甘みで、肌がきめ細かく、美しく白いのが特長である。土浦のれんこんは肉厚で繊維質が細かいのが特徴とされる。
調理方法により「シャキシャキ」した歯触りや、「ほっくり」とした食感を楽しむことができ、すりおろして「もちもち」感を出すこともできるなど、多様な食感を楽しめる。
れんこんの成分は約80%が水分で、次いで炭水化物が多く約15%を占める。
ビタミンCは100g中48mgで、りんごの12倍、うんしゅうみかんの1.4倍の量を含む。れんこんはでんぷん質が多いために、加熱しても相当量のビタミンCが残るという特徴がある。
その他、カリウム、カルシウム、亜鉛、鉄、銅などのミネラルや食物繊維も豊富で、不溶性の食物繊維が多く、腸の働きを活発にして便秘解消に良いとされる。また、ポリフェノールの一種タンニンが含まれており、粘膜を守るとともに、消炎止血作用があるといわれている。
JA水郷つくばは、2019年2月に旧JA茨城かすみ、旧JA竜ヶ崎、旧JA土浦の3JAが合併し誕生した。JA水郷つくば れんこんセンターは昭和63年(1988年)に建てられ、年間約1500トン以上を出荷し、年末ピーク時は1日に1万8000キロものれんこんを人の手で一つひとつ洗浄・選別・箱詰め・出荷している。
いばらきれんこん広域銘柄化推進協議会は、県関係機関、市町村、全農茨城県本部、農協等のれんこん生産者組織の代表者で構成され、れんこん広域銘柄産地の指定と、霞ヶ浦沿岸のれんこんの一元的な計画出荷・販売の推進を目的としている。
茨城県内で4JAがれんこんを出荷しており、互いのJAの情報を共有したり、合同で大田市場や豊洲市場での仲卸向けの消費宣伝を行い、県全体での有利販売につなげている。
毎年れんこん料理フェアが開催され、霞ヶ浦周辺市町村の飲食店でれんこん料理が味わえる。
土浦市は日本一のれんこん産地の認知度向上及びれんこんの消費拡大を図るため、れんこんに関する「食べる・買う・フォトスポット」をまとめたデジタルマップを作成している。
令和5年10月からキユーピー株式会社と「土浦市れんこんサラダ化プロジェクト推進協定」を締結し、日本一のれんこん産地のPRと消費拡大を図るため、れんこんのサラダレシピを共同開発している。
また、株式会社明利酒類の協力のもと、れんこんのさらなる知名度の向上と消費拡大を図るため、焼酎の商品を企画した。
土浦ブランドに認定されたれんこんは、1989年に初指定を受けており、2019年の再指定で平成の30年間にわたって市場からの評価を積み重ねてきた。
茨城県産れんこんを乾燥させたれんこん粉末を使用した「れんこんサブレー ハスだっぺ」などの土浦銘菓が製造されている。
「土浦のれんこん」について、誤字脱字や情報の追加・修正など、改善のご提案をお待ちしています。
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