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伊予の早曲がり(いよのはやまがり)は、愛媛県内における道路交通のローカルルールや道路交通マナーの悪さを表す言葉である。愛媛県伊予市が発祥とされている。
交差点を右折する際に青信号になったと同時に急発進を行い、対向の直進車よりも早く右折する行為を指す俗称で、愛媛県内に多い交通違反のひとつであると同時に、右直事故の典型的原因にもなっている。
伊予の早曲がりには、主に以下の2つのパターンが存在する。
信号機のある交差点で、対面にも赤信号で停車している直進車がいるにもかかわらず、青信号になった瞬間を見計らって急発進し、右折をやり遂げる行為。
右折待機中、直進車が来ているにもかかわらず、待ちきれずにその前を強引に右折していく行為。
具体的には、信号待ちから発進して交差点を右折する際に、信号が赤から青に変わった瞬間に急発進を行い、対向直進車や左折車よりも早く内回り右折することを指す。
この危険な運転行為が特に愛媛県で多く見受けられるため、愛媛県の昔の名称である「伊予」の名前を模して「伊予の早曲がり」という不名誉な通称がつけられることとなった。最初にこの語を用いた者が誰であるかは判然としていない。
愛媛県伊予市が発祥とされており、伊予市のみならず松山市や新居浜市など、愛媛県内の広い地域でこの危険な右折が見られるという。
伊予の早曲がりは、対向車との衝突や歩行者との接触など重大な交通事故につながる可能性が高い危険な行為である。
青信号と同時に急発進して右折するタイプは、基本的に大きな交差点ほど発生率が高くなるとされる。これは大きな交差点では直進車が発進し始めてから交差点中央に到達するまでの時間が長く、右折車からすれば早曲がりを成功させやすいためであると考えられている。
こうした運転を警戒し、相手が右折レーンにいる場合に少し直進を遅らせる傾向が見られ、これが渋滞の原因の一つとなることもある。対向車からすれば、信号待ちしている段階から「この右折車、伊予の早曲がりする気だな」というのはなんとなくわかるものだという。
人の往来が少ない地域だからこそできてしまう走り方であり、大都市である東京、大阪、名古屋などの都心部では、信号が青になった瞬間は歩行者が横断歩道を横断し始めるため、このような運転は困難である。
道路交通法第37条には「車両等は、交差点で右折する場合において、当該交差点において直進し、または左折しようとする車両等があるときは、当該車両等の進行妨害をしてはならない」と定められている。
自動車が公道を走行する際、右折車というものは最も優先順位が低く、他車に譲らなければならない立場にあるとされる。優先関係でいえば、交差点では右折車がいちばん優先順位が低くなる。
伊予の早曲がりは、この交差点における「直進車が優先」という規則に反しており、交差点優先車妨害という違反になる。
なお、青信号に切り替わるよりも早く、すなわちその交差点すべての信号機が赤信号の段階からフライングスタートして早曲がりする車もある。伊予の早曲がり自体が交通違反であるが、この場合はもちろん信号無視でもある。
愛媛県警察の統計によると、令和4年中の県下における交通事故の発生件数・死傷者数はともに前年比で減少しているものの、全事故件数に対する死亡事故の件数割合は全国ワースト9位であった。
愛媛県下における交通事故のうち、全体の約48.6パーセントが交差点において発生していた。また、2021年に県内で起きた交通事故の半数近くが交差点で起き、13人が死亡したという深刻な状況にあった。
このような状況を鑑みて、愛媛県警察は「いけんよ!伊予の早曲がりは危険な交通違反です!」と題したチラシを作成し、安全運転を促すとともに交差点における交通事故の防止を呼びかけている。伊予の早曲がりは、県警に使われるほど、ご当地の言葉として県民に広く認識されている。
愛媛県松前町では、2022年1月から毎月「特別週間」を設け、伊予の早曲がりをはじめとする危険な運転に対して、重点的な取り締まりを行っている。
愛媛県警察も2021年の交通事故状況を受けて、2022年に「交差点取締特別週間」を月ごとに定めて対策を強化することを発表した。
伊予の早曲がりの発祥ともされる愛媛県伊予市の警察担当者は、防止対策について「取り締まりを強化し、交差点の中心に白バイ隊員を配置して違反者がいないかを注意深く確認しています」と説明している。
さらに愛媛県警交通指導課では、伊予の早曲がりについて啓発するポスターを制作しており、伊予の早曲がりの危険性や正しい右折を行うことを強く訴えている。
松山市街では「伊予の早曲がり禁止」という看板があちこちで見かけられるという。
SNSでは、伊予の早曲がりについて、「伊予の早曲がり怖い!事故りかけた!」「ほんと危ないよね、ちゃんと取り締まってほしい」という声が見られる。
東京から愛媛県を訪れた人の中には、「交差点でこちらが直進しようとしているにもかかわらず、右折車が突然、曲がってくることが何度もありました。交通事故になるんじゃないかとヒヤヒヤしました。こんなことは初めてです」と驚きを語る者もいる。
愛媛県以外の地方でも同様の右折をする車は存在するが、愛媛県で特に多く見られるため、この名称が定着している。
伊予の早曲がりと同様の危険な運転行為は全国各地に存在している。
長野県松本市では「松本走り」と呼ばれる運転行為があり、対向車がいるにもかかわらず強引に右折したり、交差点で対面する信号が青色に変わった瞬間に右折したりする運転を指す。
茨城県では「茨城ダッシュ」と呼ばれ、対面する信号が青色に変わった瞬間、対向車が動き出すよりも先に右折する運転行為が見られる。
山梨県の「山梨ルール」は右折車優先を中心とした危険な運転を指す。
これらは全て、茨城ダッシュと同義語で、直進車よりも先に右折してしまうことを表している。
対向車が伊予の早曲がりをしようとしている気配を感じた場合でも、阻止すべく急発進して直進するといった対抗行動は避けるべきである。事故のもとになるので、伊予の早曲がり車にはかかわらない方が賢明とされている。
ドライバーは道路交通法を遵守し、直進車や左折車の通行を絶対に妨げないようにすることが求められる。
愛媛県警察は交差点における交通事故を抑止するために伊予の早曲がりに対する取り締まりを強化しているので、危険な運転や重大な事故を起こせば逮捕される恐れもある。
「伊予の早曲がり」について、誤字脱字や情報の追加・修正など、改善のご提案をお待ちしています。
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