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二億円のGT-Rがふるさと納税の返礼品に。三重県明和町、クルウチのオリジナルモデル「R356」を提供開始

ふるさと納税の返礼品といえば、和牛やカニ、フルーツといった特産品が定番だ。しかし、三重県明和町が本日10月20日から提供を開始したお礼の品は、そんな常識を軽く飛び越えている。なんと、GT-Rなのである。それも、寄付金額二億円という、目の玉が飛び出るような金額だ。

今回返礼品として登場したのは、明和町に本社を構える株式会社クルウチが開発したオリジナルGT-Rモデル「R356」をはじめとする自動車関連品だ。クルウチは国産スポーツカーの整備・再生を専門とする事業者で、GT-Rに関しては130台以上を取り扱ってきた実績を持つ。併設する「クルウチ博物館」には、歴代GT-Rを中心に約450台ものコレクションが展示されているというから、その本気度がうかがえる。

ふるさとチョイス限定、受注生産のオリジナルモデル

「R356」は、日産GT-R R35をベースにクルウチが独自の設計とカスタムを施し、アルミボディで仕上げたオリジナルモデルだ。これまで東京オートサロンなどの展示イベントでは披露されてきたが、ふるさと納税の返礼品として提供されるのは今回が初めてとなる。しかも、ふるさとチョイス限定での提供で、寄付者からの申し込みを受けてから製造する受注生産形式だという。寄付金額は二億円。控除上限額がこの金額に達する人というのは、いったいどれほどの年収なのだろうか。考えるだけで眩暈がしてくる。

「R356」以外にも、R34型GT-Rをベースにレース仕様車を公道仕様に整備した「R34 GT-R レース仕様ベース」(寄付金額一億円)、R32型GT-Rをベースにボディや足回り、エンジンを再整備した「R32 GT-R リフレッシュモデル」(同五千万円)といったラインナップが揃っている。どれもこれも、我々庶民には想像を絶する金額だ。

もちろん、もう少し手の届きそうな返礼品もある。「GT-R整備パック+クルウチ博物館見学」は寄付金額百万円で、GT-Rの整備に関連するプランとクルウチ博物館の見学がセットになっている。百万円でも十分に高額だが、二億円と比べれば随分と現実的に思えてくるのが不思議だ。金銭感覚というのは、こうして麻痺していくのかもしれない。

地域産業の魅力を全国へ

この取り組みに至った背景には、明和町の地域産業活性化への強い想いがある。明和町は町内の事業者とともに地域産業の魅力を全国に発信し、ふるさと納税を通じた地域経済の活性化を目指しているという。近年は新たなお礼の品の開発やプロモーション強化など、地域の特色を生かした取り組みを推進しており、その一環として町内の自動車事業者であるクルウチと連携することになったのだ。

クルウチの代表は「明和町に人を呼びたい」という想いのもと、全国に顧客を抱えながらも明和町で営業を続けている。国産スポーツカーを日本に残したい、若い世代に魅力を伝えたいという情熱が、こうした取り組みを生み出したのだろう。

小さな町から始まる物語

明和町は三重県中部、伊勢平野に位置する町で、古代伊勢神宮の斎王が暮らした「斎宮跡」をはじめとする歴史資源や豊かな自然が特徴だ。農業・水産業が根付く地域でもあり、観光振興や移住促進、ふるさと納税を通じた地域ファンの拡大など、持続可能な地域づくりに取り組んでいる。

ふるさと納税のあり方については賛否両論あるが、こうした取り組みを通じて、地域の隠れた魅力や企業の技術力が全国に知られるようになるのは悪いことではないだろう。二億円のGT-Rを寄付する人がこの世に存在するかどうかはわからないが、少なくとも「明和町にはこんな凄い企業がある」ということは、多くの人の記憶に残るはずだ。

国内最大級のふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」を運営する株式会社トラストバンクとともに、明和町とクルウチは今後も地域に根ざしたものづくりの魅力を全国へ発信していくという。GT-Rという日本を代表するスポーツカーを通じて、地方の小さな町が全国に名を轟かせる。そんな物語が、今まさに始まろうとしているのである。

この記事の著者

男の感性に火をつける、ライフスタイルWEBマガジン「GENTS-ジェンツ-」運営。
40代を中心とした大人世代に向けて、茨城県南エリアの情報を本当に良いと感じたものだけを厳選して紹介しています。