競争相手はとなりの店じゃない!!“無関心”こそ最大のライバル

「競合が増えて厳しい」と感じていませんか? でも本当のライバルは隣の店ではなく、お客さんの”無関心”かもしれません。選ばれる前に、まず「思い出してもらう」ための小さな接点づくりが地域ビジネスを変えます。

「競合が多くて勝てない」と感じたら考え方を変えてみる

「最近、似たようなお店が増えてきて、うちも大変だよ。」  
「値段を下げないとお客さんが来なくなった。」  

地域の経営者から、そんな声をよく聞きます。  
確かに世の中は便利になり、ネットでも簡単にモノが買える。  
地元で商売をしていると、どうしても“競争”という言葉がつきまといます。  

でも、ちょっと立ち止まって考えてみてください。  本当にライバルは、となりのお店でしょうか? 
多くの地域ビジネスにとって、一番の敵は「競合」ではなく、  “お客さんの無関心”なんです。  

お客さんは「他の店」に行っているのではなく、「考えていない」

たとえば、ある地元のパン屋さん。  
味にも自信があり、素材にもこだわっている。  
けれど最近はお客さんが減っている。  

「向かいの新しい店に取られたのかな」と思っていたら、  実はお客さんはパンを買うこと自体を“意識していなかった”のです。  

つまり、“競合に負けている”のではなく、“頭の中に入っていない”。 
お客さんの「選択肢リスト」に、あなたの店がそもそも載っていないのです。  

マーケティングの世界では、この状態を「想起されない」と言います。  
“比較”の前に、“思い出してもらえるかどうか”。  
そこが勝負の分かれ目です。  

【事例】“忘れられていたパン屋”が「朝の一言」で復活

ある地元のパン屋さんでは、SNSの更新が止まり来店客も減っていました。  
店主は悩んだ末、投稿内容を変えました。  

毎朝7時、「今朝焼けたパンの香り」を写真とひとことだけで投稿。  
「今日もいい香りです。コーヒーのお供にどうぞ。」  
それだけ。  

すると、地元の人が「毎朝の投稿を見て、パンの香りが頭に浮かぶ」とコメント。  
少しずつ常連客が戻り、売上も安定しました。  
ポイントは“思い出してもらう習慣”を作ったこと。

特別なキャンペーンをせず、投稿のリズムだけで“無関心”を動かせたのです。  

“比較”の前に、“想起”がある

「他店より安い」「品質がいい」  
そうした“比較の世界”で戦う前に、まず“想起の世界”で戦わなければなりません。  

思い出してもらえないブランドは、いくら魅力的でも存在していないのと同じ。  
人の頭の中で“存在”できて初めて、選ばれるチャンスが生まれます。  
だから、マーケティングとは「知ってもらう」ではなく、  「思い出してもらう仕組みをつくること」なんです。  

無関心を破るには「小さな接点」を積み重ねる

では、どうすればお客さんの無関心を破れるのか。  
答えはシンプルで、“接点の数”を増やすことです。  

接点とは、広告や販促ではなく、  
「ふと見かけた」「なんとなく思い出した」そんな日常の引っかかりのこと。  

たとえば  

  • 季節ごとに店頭の写真を変える  
  • SNSでスタッフのひとことを投稿する  
  • 地元イベントに顔を出す  
  • お店の前に手書きボードを出す  

こうした小さな積み重ねが、“想起”の土台になります。  
お客さんに「なんか気になる」と思ってもらえたら、それが第一歩です。  

やってはいけないのは「反応がない=意味がない」と思うこと

SNSを使っていると、  
「いいねが少ない」「コメントがない」と不安になります。  

けれど、見ている人は確実にいます。
数字に出なくても、投稿は静かに心の中に残っている。  

実際に、店主と話すと「この前の投稿見ましたよ」と言われることが多いとのこと。  
こうした“静かなファン”こそ、無関心を関心に変える最初の芽です。  

数字が動かなくても、“見ている人”は動いている。  
発信とは、すぐに売るためではなく、“関心の種をまくこと”なんです。  

「価格」ではなく「物語」で覚えてもらう

無関心を打ち破るのは、値下げでも広告でもありません。  
“ストーリー”です。

なぜこの商品を作っているのか。  
なぜこの店を続けているのか。  
その背景を伝えると、人は“自分の物語”と重ねてくれます。  

たとえば、同じ野菜でも  
「近くの農家さんが、朝5時に収穫して届けてくれた」  
と知るだけで、価値の感じ方が変わります。  

商品を売るのではなく、“物語を伝える”。  
それが、無関心を関心に変える鍵です。  

【やってはいけない例】「安さ」を主張しすぎること

安さで関心を集めるのは、一時的な方法です。  
価格で来たお客さんは、価格で離れていきます。  

本当の関心は、「安いから」ではなく「信頼できるから」生まれる。  
“なぜその値段なのか”を語れることこそが、ブランドの力です。  

無関心を動かすのは、値札ではなく“温度”なんです。  

“あなたのお店や会社が「思い出してほしい瞬間」は、いつですか?  
そのタイミングで、どんな言葉をかけたらお客さんの頭に浮かぶでしょうか?  “

無関心とは「まだ気づかれていない」だけ

お客さんの無関心は、拒絶ではありません。  
ただ、まだあなたの存在に気づいていないだけ。  

だからこそ、焦らずに、小さな声を積み重ねていきましょう。  
発信とは、気づかせるための“やさしいノック”です。  

そして、そのノックを続けた会社だけが、  
“無関心”の壁を超えて、“信頼”の扉を開けることができます。  

次回は

無関心を突破するには、「お客さんがどんな言葉で探しているか」を知ることが鍵。
第3回では、検索窓の向こう側にある”感情”の読み解き方を解説します。

この記事の著者

男の感性に火をつける、ライフスタイルWEBマガジン「GENTS-ジェンツ-」運営。
40代を中心とした大人世代に向けて、茨城県南エリアの情報を本当に良いと感じたものだけを厳選して紹介しています。