カカオの新境地を拓く一本。虎ノ門のバーが仕掛ける限定ジン

虎ノ門ヒルズビジネスタワーの3階に「memento mori(メメント・モリ)」という、ちょっと変わったバーがある。2020年の開業というから、まだ5年ほどの店だが、このバーのテーマが面白い。「カカオをカクテルとして追求する」つまり、チョコレートの原料として知られるカカオを、スピリッツという形で楽しんでもらおうというわけだ。

そのメメント・モリが毎年リリースしている限定の「カカオジン」。2025年版が10月12日から発売されるという。

memento mori 虎ノ門

ドミニカ共和国産カカオ豆が主役

今回のカカオジンは、サンフランシスコ発のBean to Barチョコレートブランド「ダンデライオン・チョコレート」とのコラボレーションで誕生した。使用するのはドミニカ共和国産のカカオ豆である。

丁寧に手作業で選りすぐられるカカオ豆

ダンデライオン・チョコレートといえば、2016年に東京・蔵前に日本1号店をオープンして以来、三重・伊勢や東京・吉祥寺にも店舗を展開している、いわゆるクラフトチョコレートの専門店だ。シングルオリジンのカカオ豆とオーガニックのきび糖のみを使い、すべての製造工程を自社ファクトリーで行うというこだわりようである。

今回選ばれたドミニカ共和国産のカカオ豆は、深いカカオの味わいの余韻に、スパイスやミルクティーのような風味を感じさせる高品質のものだという。メメント・モリのスタッフが焙煎後の豆を粗く砕き、カカオとカカオハスク(外皮)を自然な比率で混ぜて使用したそうだ。

新潟の蒸留所で丁寧に仕上げる

蒸留を担当したのは、新潟県上越にある「越後薬草蒸留所」。この蒸留所は、40年以上にわたって野草酵素の研究を重ねてきた越後薬草が手がけるスピリッツとジンのブランドで、『World Gin Awards 2024』のSignature Botanicalにおいて”Country Winner Gold”をはじめ、数々の賞を受賞している実力派だ。

レシピを担当したのは、スピリッツ&シェアリング株式会社の代表取締役・南雲主于三氏。南雲氏は「あらゆる液体をカクテル化する」というミッションのもと、既存にない新しいカクテルを生み続けている日本のミクソロジストの第一人者である。

今回のカカオジンには、ドミニカ共和国産のカカオに加えて、エクアドル産のカカオパルプ、バヌアツ産のバニラビーンズを贅沢に使用している。2024年版に近いレシピだというが、豆が違うと味わいもぐっと変わるのだそうだ。前回のトロピカルな印象に比べ、今回はハイカカオチョコレートのような深みと、ベリーのような酸を伴う旨みが際立つという。

越後薬草蒸留所

越後薬草蒸留所での段階加水により香味を丁寧に調整し、完成したのは、甘くないのに果実的で官能的、そして余韻まで豊かなジンだ。アルコール度数は46%、容量は700ml。限定691本という数字も、なんだか意味ありげである。

テイスティングノート、チョコレートとベリーの調和

このカカオジンの味わいを言葉で表すなら、こんな感じだろうか。

まず香りは、高カカオチョコレートのような香ばしさが中心に立ち上がり、ベリーのような酸が奥行きを与える。ジュニパーの爽やかさ、レモンピールの明るさも重なって、複層的な香りが広がるのだ。

味わいは、前半に果実感ある酸味が広がり、中盤からは深く丸みのある苦味と甘さが訪れる。前回のビスケット的なニュアンスよりも、チョコレートや熟した果実のようなニュアンスが強いという。

そして余韻。心地よい苦味とやや甘みを伴った酸が持続し、焙煎香とバニラが静かに残る。温かみあるフィニッシュである。

おすすめの楽しみ方は、まずストレートかロックで。カカオの奥行きとベリーの酸味が広がり、香味の変化を長く楽しめる。ソーダ割りにすれば、苦味がキレよく広がり、爽快でリッチなハイボールになる。チョコレートとのペアリングも試してみたい。フルーティーなタブレットチョコレートや、ナッツ系との相性が抜群だという。

購入方法はオンラインか日比谷で

この『カカオジン Limited edition 2025』は、価格が7,480円(税込)。10月12日から、Mixology Online StoreとMixology Boutique(日比谷OKUROJI)で限定販売される。

Mixology Boutiqueは、東京都千代田区内幸町の日比谷OKUROJIのG20にある。営業時間は16:00から23:00まで(ラストオーダー22:30)。店頭で実物を見ながら購入するのもいいだろう。

オンラインでの購入は、Mixology Online Storeから可能だ。一般小売店での販売はないので、購入はこの2つのルートのみとなる。

限定691本という数字を考えると、気になる人は早めにチェックしておいたほうがよさそうだ。カカオという素材の奥行きを再認識させてくれる一本、それが、この2025年版のカカオジンなのである。

ラベルデザインは変わりゆくカカオの味わいを表現

商品情報
名称:Cacao Gin Limited Edition2025 
アルコール度数:46%
容量 :700ml
蒸留所:越後薬草蒸留所(新潟県)
販売:Spirits & Sharing inc.
販売数:限定691本数
使用ボタニカル
カカオパルプ(エクアドル産)、カカオニブ、カカオハスク(ドミニカ共和国産)、ジュニパーベリー、コリアンダーシード、バニラビーンズ(バヌアツ産)、シナモン、アンジェリカルート、カルダモン、クローブ、オールスパイス、レモンピール、オレンジピール

この記事の著者

男の感性に火をつける、ライフスタイルWEBマガジン「GENTS-ジェンツ-」運営。
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