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百里基地(ひゃくりきち)は、茨城県小美玉市百里に所在する航空自衛隊の基地である。関東地方唯一の戦闘機部隊である第7航空団が配置され、首都圏の防空を担う重要な拠点として、24時間体制で日本の空を守っている。2010年からは茨城空港と滑走路を共用する官民共用施設となり、防衛と地域振興の両面で重要な役割を果たしている。
百里基地は正式名称を航空自衛隊百里基地といい、基地司令は第7航空団司令が兼務している。2010年からは民間施設である茨城空港と飛行場を共用しており、防衛省と民間が共同で運用する施設となっている。
所在地は茨城県小美玉市百里170。霞ヶ浦の北に位置し、東京から北東へ約80km、水戸市から南へ約20kmの距離にある。基地面積は約138万坪(約456万平方メートル)で、2,700mの滑走路を2本有している。基地の西側には茨城空港のターミナルビルが隣接している。
百里基地の起源は1937年(昭和12年)に遡る。この年、旧日本海軍が百里ヶ原海軍飛行場として設置し、百里原海軍航空隊が配置された。1945年(昭和20年)の第二次世界大戦終戦後、海軍跡地は満洲国などからの引揚者のための戦後開拓地として農地に転用された。
1955年に地元から基地誘致運動が起こり、1956年(昭和31年)に首都圏防空強化のため航空自衛隊基地の建設が計画された。1958年に航空自衛隊百里分屯基地が発足し、5期にわたる滑走路工事を経て、1965年に飛行場が完成。翌1966年(昭和41年)7月に百里基地として正式に発足した。
1967年に第7航空団が入間基地から移駐し、対領空侵犯措置任務を開始。1972年には空自で初めてF-4ファントムⅡを受け入れた。その後、1985年にF-15イーグルが配備され、長年にわたり首都圏防空の要となってきた。2020年代には現在の主力機であるF-2戦闘機を運用する第3飛行隊が三沢基地から移駐し、現在に至っている。
1995年(平成7年)に茨城県が「百里飛行場民間共用化構想」を発表。2000年に事業化が決定され、2010年(平成22年)3月11日に茨城空港として開港し、官民共用が開始された。
百里基地の主力部隊であり、中部航空方面隊隷下の戦闘航空団。F-2戦闘機を運用し、対領空侵犯措置や防空などの任務にあたっている。司令部、飛行群、整備補給群、基地業務群から構成される基地最大の部隊。
現在は以下の飛行隊が配置されている:
航空自衛隊は24時間365日、地上レーダーなどにより我が国周辺空域の警戒監視を行っている。国籍不明機が領空を侵犯するおそれがある場合、百里基地の戦闘機が緊急発進(スクランブル)して対処する。百里基地は関東地域の領空防衛の要として、第7航空団の戦闘機が常時待機態勢を維持している。
首都圏を含む関東地域の防空を担当し、有事の際には航空作戦を実施する。
2010年3月の茨城空港開港以降、百里飛行場は航空自衛隊と民間航空の共用施設となっている。滑走路と自衛隊施設の大半は百里にあるが、茨城空港のターミナルビルは隣接する与沢地区に設置されている。民間機と自衛隊機が同じ滑走路を使用するため、双方の運用調整が行われている。
茨城空港からは国内線(札幌、神戸、福岡、那覇など)や国際線(中国、台湾など)が運航されており、北関東の空の玄関口として機能している。
百里基地では毎年12月に航空祭が開催され、基地が一般に公開される。F-2戦闘機による機動飛行や模擬対地攻撃展示、救難展示などが行われ、年によってはブルーインパルスのアクロバット飛行も披露される。関東地方で唯一の戦闘機部隊が見られる航空祭として人気が高く、例年4万人から6万人以上の来場者で賑わう。
2024年12月8日に開催された「航空自衛隊創設70周年記念 令和6年度百里基地航空祭」では、約6万5千人が来場した。航空祭では航空自衛隊の航空機のほか、陸海空の各自衛隊の装備品展示も行われる。
JR常磐線石岡駅からタクシーで約30分(約18km)。または茨城空港まで路線バスで移動後、タクシーで約5km。航空祭開催時には石岡駅や水戸市内などから臨時シャトルバスが運行される。
東京駅から茨城空港への高速バスが運行されており(所要時間約1時間40分)、空港からタクシーで基地正門まで約5km。
常磐自動車道・千代田石岡ICまたは石岡小美玉スマートICから茨城空港アクセス道路経由で約20分。航空祭開催時を除き、基地周辺には一般来訪者用の駐車場はない。
茨城空港と百里基地は同じ敷地内にあるが、入口は正反対の位置にあり、徒歩での移動は困難(滑走路を挟んで約5km)。カーナビゲーションシステムで検索すると裏門への経路が案内される場合があるため注意が必要。
百里基地は茨城県小美玉市の重要な施設として、地域経済や雇用に貢献している。一方で、戦闘機の訓練飛行による騒音など、基地周辺住民への影響もあるため、基地側は地域への配慮を行いながら任務を遂行している。小美玉市には基地・空港対策課が設置され、基地との連絡調整を行っている。
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