でれすけ

でれすけ

でれすけは、主に福島県、茨城県、栃木県、千葉県などの北関東から東北南部にかけて広く使用されている方言である。だらしない人、いい加減な人、アホなどの意味を持つ否定的な表現として用いられる。

意味と用法

でれすけという言葉は、相手を罵る言葉全般として使用される。標準語では「アホ」「だらしない人」「どうしようもない人」といった意味に相当する。関西の「アホ」に近いイメージで、「バカ」と罵るよりもライトな感じの表現とされている。

具体的には「要領が悪い」「仕事が遅い」「不器用」「ミスが多い」「なまけもの」といった意味で使われることが多い。職人の親方が要領が悪くて仕事のミスが多い部下を「でれすけ野郎」などと叱ったりする場面で用いられる。

福島県では「おっちょこちょい」や「ドジな人」を指す表現として使われることもあり、単なる失敗者を指すのではなく、どこか憎めない愛嬌のある人を表現する際に用いられる場合もある。

語源

でれすけの語源は「でれでれした(好色の)すけ(男)」というところから来ている。もともとは「好色でだらしのない人。しまりのないのろい男」という意味であった。明治初期に三遊亭円朝の落語で使われたと言われており、そこから「だらしない奴」「いい加減な奴」と意味が広がっていった。

三遊亭円朝の作品「真景累ケ淵」では「殿様は猶更でれすけにおなり遊ばします」という形で使用されており、これが初出の実例とされている。

語源は「男」を意味するが、現代では性別に関係なく使用される言葉となっている。

福島県では「でれっと(ぼんやり)」という状態から派生したという説も有力であり、時代とともに否定的な意味合いから、むしろ愛情のこもった表現へと変化してきたとされる。

使用例

典型的な使用例としては、子供が悪いことをしたときに叱るために「このでれすけが!」と使用される。また「おめえみてえなでれすけに言われたくねえ」のように、少しバカにされたときに反論するために使うこともある。

怒っているときにも使用されるが、比較的ライトな悪口として日常的に用いられる表現である。

使用地域

でれすけは千葉県、茨城県、栃木県、福島県を中心に使用されている。映画「フラガール」の中でも多用されており、福島県の一部にまで使用地域が広がっている様子が描かれている。

茨城県でも「でれすけ」は使用されており、同じ北関東の方言である「ごじゃっぺ」と混同されることもあるが、ニュアンスには違いがある。

ごじゃっぺとの違い

でれすけと類似の方言として「ごじゃっぺ」があり、どちらも悪口の一種であるが、厳密には意味が異なる。

でれすけは「要領が悪い」「仕事が遅い」「不器用」「ミスが多い」「なまけもの」といった意味で使われることが多く、相手の能力や性格の不十分さを指摘する表現である。

一方、ごじゃっぺは「ごちゃごちゃ面倒くさい人」「嘘つき」「いい加減」「支離滅裂」といった意味で使われ、人物の信頼性や言動の一貫性に対する否定的な評価を表す表現である。

このように、でれすけは主に能力面での批判、ごじゃっぺは人格や言動の信頼性に関する批判という違いがある。

現代における使用

でれすけは現在でも北関東から東北南部の地域で日常的に使用されている方言である。学校の先生や祖父母世代が子供を叱る際に「でれすけが!」と言う場面は今でも見られる。

ただし、ライトな悪口であっても悪口には変わりないため、言われた側は怒ることもある。地域外の人々との会話では注意が必要な表現である。

文化的影響

「でれすけ」を題名にした漫画作品『でれすけ!』が宇佐美道子によって創作され、2009年から2011年にかけて連載された。作者の出身地である福島県の方言を題名に採用したもので、題名は「ばか者」の意味である。

このように、でれすけは地域の文化やアイデンティティを表す言葉として、方言の中でも特徴的な存在となっている。

この記事の著者

男の感性に火をつける、ライフスタイルWEBマガジン「GENTS-ジェンツ-」運営。
40代を中心とした大人世代に向けて、茨城県南エリアの情報を本当に良いと感じたものだけを厳選して紹介しています。

コメントをお願いしいます!

コメントする

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約が適用されます。
※コメントは編集部の承認を経て掲載されます。
※コメントの投稿前には 利用規約 の確認をお願いします。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)