カテゴリーから記事を探す
# CARS # FASHION # GADGET # GOLF # LIFESTYLE # MUSIC # TRAVEL
目立たない、だが深く残る。Virtus Classicsがこの春一挙に解禁した21タイトルには、そんな“静かな凄み”が息づいている。音楽の本質を見つめるその姿勢は、まさに大人のクラシック。ガロワ、瀬尾和紀、菊地裕介、伊賀&山口…技巧と感性が交差する名演が、音の輪郭と空気の振動をもって男の夜に寄り添う。
CREDIT: | 文/TAYAMA.M(GENTS) |
Virtus Classicsは、目立つためのレーベルではない。響きを愛し、楽曲の“語り直し”を続けてきた硬派な存在。創設者はフルーティスト瀬尾和紀。2013年の立ち上げ以来、知られざる佳曲や編曲作品に光を当て続けてきた。
そして2025年春、そのアーカイブの中から21タイトルがサブスク解禁。名よりも“音の格”で選び抜かれた演奏群は、喧騒を離れた一人の時間に、じわりと染み込んでくる。
「ガロワの芸術」と題された三部作──そこには、かつて“フルート界の貴公子”と称された男の今がある。卒業試験曲、フランス・ロマン派、近代ソナタ。いずれも録音されることのなかった名曲たちを円熟のトーンとともに描き出す。
パートナーは愛弟子・瀬尾和紀。ガロワのためのピアニストであり、同時にこの録音のプロデューサーでもある。息の合った二人のやりとりが単なる演奏ではない“対話”として聴こえてくるのが素晴らしい。
【各種配信サービス】
パトリック・ガロワの芸術・1「パリ音楽院卒業試験曲集」https://lnk.to/VTS-008
パトリック・ガロワの芸術・2「フランス・ロマン派ソナタ集」https://lnk.to/VTS-009
パトリック・ガロワの芸術・3「近代フルート・ソナタ集」https://lnk.to/VTS-024
Virtus Classicsの真骨頂はフルートだけじゃない。ピアノ作品も実に粒ぞろい。菊地裕介による「幻想交響曲」──リスト編による超絶技巧を、冷静な情熱で弾き切る。伊賀あゆみ&山口雅敏は4手連弾で挑む「ショスタコーヴィチ/交響曲第11番」。スリリングな編曲が、連弾の可能性を拡張してみせる。
さらに山田剛史の「モダン・エチュード」は、20世紀初頭のピアノ作品に鋭くも温かな光を当てる異色の1枚。どの演奏にも共通するのは、“音楽家が作品に向き合う姿勢”の透け方。音を追わず、音に導かれる感覚。こういう演奏こそ、長く付き合える。
【各種配信サービス】
伊賀あゆみ&山口雅敏「進化系ピアノ連弾」https://lnk.to/VTS-002
伊賀あゆみ&山口雅敏「ショスタコーヴィチ/交響曲第11番≪1905年≫」https://lnk.to/VTS-003
菊地裕介「ベルリオーズ(リスト編)/幻想交響曲」https://lnk.to/VTS-012
山田剛史「モダン・エチュード」https://lnk.to/VTS-013
Virtus Classicsが並べたのは、21の“音の短編小説”だ。すぐに結論を求めない余裕と、静かに浸る時間を許す贅沢。その先に広がるのは、耳で聴く風景。音の深さは、聴く人の成熟に呼応する。さあ、誰にも急かされない場所で、音楽とだけ向き合ってみないか。
【各種配信サービス】
瀬尾和紀「モダン・タイムズの妙巧」https://lnk.to/VTS-018
井本響太「ソナタ ミラージュ」https://lnk.to/VTS-020
コメント